悲しみを乗り越えること≠忘れること~誕生死の話~

2016/08/12 21:00
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クックパッドベビーをご覧の皆さま、こんにちは。助産師のREIKOです。

 

8月13日からお盆という地域も多いのではないでしょうか?お盆休みを利用して、おでかけされるおうちもあると思います。

 

お盆はご先祖さまや亡くなった方が浄土から帰ってくる期間といわれています。そんな時期ということもあり、今回は赤ちゃんの「誕生死」についてお話ししたいと思います。

 

あまり知られていない数字?

ママのおなかに宿った命が、無事にこの世に誕生するということ。すべてがそうであってほしいと思うのですが、そうもいかないというのが現実です。

 

おおよその数ではありますが、2015年の出生数は1,003,532、死産数は23,515、生後1週間未満の早期新生児死亡数は711という統計が厚生労働省から出ています。早い妊娠週数の流産の数を含めるとさらに数は増えます。

 

赤ちゃんが亡くなる理由はさまざまですが、やはり赤ちゃんの誕生を楽しみにしていたママやご家族にとっては思いもよらない突然のできごとで、その衝撃は計り知れないと思います

 

「誕生死」って?

 

@be_nuuurseが投稿した写真 -

 

「誕生死」という言葉を聞いたことありますか?これは2002年に出版された、流産死産新生児死で子をなくした親の会・著『誕生死』という1冊の本をきっかけに徐々に広まり、使われるようになった言葉です。

 

「stillborn」という英語は、「死産の」と訳されます。still「それでもなお」(was)born「生まれてきた」という意味を内包する言葉を、「死産」と訳することへの違和感から生まれたのが「誕生死」という言葉でした。

 

これは流産、死産、新生児の死など、幼い赤ちゃんの死を意味していますが、誕生死という表現は、「死」を「生」の側面から見た言葉だといえます。

 

あなたならどうしますか?

私も何度も誕生死の場面に立ち会ってきました。中にはお産後、ママに赤ちゃんを会わせたくないというご家族の方もいらっしゃいます。そんなときはご家族のお気持ちも汲んだうえで、ママと赤ちゃんが会うことの意味についてお話しさせていただいていました。

 

このことをなかったことにはできないし、忘れることもできないと思います。その場で悲しみに向き合わないと、ママはずーっとこの思いを胸に抱いたまま過ごしていかなければならなくなります。なのでできる限り、ママと赤ちゃん、ご家族が一緒に過ごせたらと思いながら、関わらせていただいていました


 

できることは限られているかもしれませんが・・・

ママとご家族の希望を伺いながら、生まれた赤ちゃんを抱っこしたり、沐浴したり、手形・足形をとったり・・・。お洋服はママ達が用意したものがあればそちらを、赤ちゃんがとても小さかったり、間に合わなかったりしたときはスタッフ手作りの洋服を着せてあげていました。限られた時間ではありますが、ママと赤ちゃん、ご家族がゆっくりと過ごせるようにしていました。

 

私は産婦人科病棟で働いていたので、お産の方はもちろん、婦人科の病気で入院されている方、赤ちゃんを亡くされたママたち・・・さまざまな女性が入院していらっしゃいました。産科ってよろこびがあふれている場所という印象もあるかもしれませんが、働いている者にとっては、生にも死にもいちばん近いところだったような気がしています。

 

人は突然のできごとに対して、それを受け入れるまでにはいろいろな感情が出てきて、時間をかけてその事実を受け入れていきます。その場にいた人たちは、どのように言葉をかけたらいいのかわからないでしょう。私も身近な人の誕生死に関わることになったとき、専門家としては失格かもしれませんが、なんと言葉かけをしていいのかわからず、頭をぽんぽんとすることしかできませんでした。

 

誕生死を経験したママにとって、慰めや励ましの言葉よりも、ママが悲しい気持ちを表出できるような場所や、その悲しい気持ちにただ寄り添ってくれる存在が大切なのではないかと私は思っています。

 

そしてそれぞれのペースで少しずつ笑顔を取り戻していただけたら、また新たな一歩を踏み出していただけたらと思っています。(TEXT:助産師 REIKO)


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